漢方外来とは

漢方のイメージ写真

当クリニックでは漢方薬を用いた治療も提供しております。西洋医学の治療のみでは患者さんのニーズに対応できない場合もあります。そのようなケースでは、漢方治療によって治療効果が期待できることもあります。漢方薬の中には、公的医療保険が適用されるものも数多くあります。どうぞ、お気軽にご相談ください。

また、当クリニックは浄土真宗本願寺派のクリニックです。
仏教理念に基づいて診療をおこなっております。
※檀家様以外でも、一般の方のご受診も受け入れております。

仏教医学とは

仏教は、実は医学的要素に満ちています。もともと「生老病死」という悩みの本質との対決の中から導かれた釈尊の思いは、すべての人々の苦悩を治療し、健全な心身をもたらしていきたいというところにあります。また釈尊は、悟りを開いていくためには心身ともに健康である必要があると考え、当時のインド医学であるアーユルヴェーダの知識を身に着けていたとも言われています。仏典には医療に加え、衛生、食養などライフスタイルに関する記述が多いとの研究もあり、仏教と生活医学には、共通する点があるとの指摘もあります。それはまさに仏教医学と言うことができるでしょう。

仏教医学では、病気の治癒に関して医師が力を傾けるのみならず、患者さんである病者自身の治癒への努力が求められる点に特徴があります。また医師と病者は与えるものと与えられるものという一方的関係ではなく、医師は病者から貴重な医学的知識や経験、生命に関する知識、人生の知恵を受け取ることができ、医師自身も菩薩的な生命を現出することができるとされます。医師と病者はそれぞれがいわば、心身の健全な人生の実現を目指した友人であり、かけがえのない協力者であるという考え方です。

当クリニックでは、こうした考え方、また仏教医学におけるライフスタイルによるケアという視点を大切にし、アーユルヴェーダや中医学、漢方などの東洋が育んできた医療の考え方や技術も、プライマリ・ヘルスケアの一環として取り入れながら、患者さんとともに心身ともに健全な、より良い人生のための取り組みを行っていきます。

アーユルヴェーダ

アーユルヴェーダは「生命の科学」とも訳すことができる、インド・スリランカにおける伝統医学です。日本ではオイルマッサージなどが思い浮かべられますが、単なる健康法だけではなく、豊富な薬草の知識や、医食同源の発想からくる日々の実践的な生活医学の要素もあります。

私たちの体は「ドーシャ」という「ヴァータ(風)・ピッタ(火)・カバ(水)」の3つの自然のエネルギーから構成されているとアーユルヴェーダは解きます。このドーシャのバランスが取れた状態が健康であり、崩れると健康ではない状態ということになります。この3つのバランスは個人の体質によって異なります。そしてそれは季節の変化や、心身の状態で差が出てくるとされます。まず、自分がどのような状態なのかを知り、それに合わせた食事や生活、治療を行っていくことが大切であるという考え方です。またアーユルヴェーダでは心と体の調和が、本質的な健康を生み出すと説きます。心や意識の持ち方も非常に重要な要素なのです。

中医学

中医学とは中国の伝統医学です。病気だけではなく、同時に人も見ていくという点に特徴があります。内臓や器官それぞれが独立してあるのではなく、それぞれが関係しあい、まとまりをもった個体と考え、一人一人異なる体質、発病の原因と経過によって治療法を選び、そしてなにより「未病」の段階から病気の予防をしていくことを重視しています。これらは「整体観」「弁証論治」「未病先防」という3つの言葉で表されます。

「整体観」は、人は自然の一部であり、様々な自然の変化の影響を受けると同時に、人も一つの自然で、様々な部位が影響しあっているというという考え方です。これは心身のバランスに注目したものと言えるでしょう。「弁証論治」は、一人一人の体質や病気の原因、発病のプロセスを分析し、それに合った治療法を選んで、いわばオーダーメイドで治療を行うものです。そして「未病先防」は病気が発症する前から、体質を見ながら食事や生活習慣を心がけ、病気になりにくい体質を作り、未然に病気を防いでいくという考え方です。

ちなみに「弁証論治」では、まず四診と呼ばれる4つの方法で診断します。それは顔や体、舌などを見る「望診」、食欲や睡眠状態、これまでにかかった病気などを聞く「問診」、声や咳を聴いたり、排泄物や分泌物のにおいをかぐ「聞診」、脈を取ったり、体に触れて温度や乾湿、痛みを診る「切診」です。そこから得た情報をもとに、体内の陰陽、虚実、寒熱、五臓、気血津液をみながら、同じ症状でも、原因や体の状況に合わせて、正しい治療法導き出します。

治療方法は陰陽学・五行学、薬草学、鍼灸、按摩、気功などがあり、人間に本来備わっている防御力や抵抗力、免疫力を高め、心身を正常な状態に導いて、病気の根本的な治癒を目指すものです。

漢方

日本に中医学が伝来したのは、5~6世紀ごろと言われています。漢方はこの中医学の考え方を基本としつつも、そこから、日本の気候や風土、日本人の体質や生活習慣に合わせ、日本独自で発展し、確立していったものです。現代の医学でも用いられている漢方は、日本の伝統医学と言えるでしょう。

漢方においても、重視するのはその人の体質です。舌や脈、お腹を見る「腹診」などを行い、「気・血・水」という物差しで体質を判断し、漢方薬を処方していきます。症状だけでなく、体質をみて診断していくという点が、個々の臓器や組織に原因があるとしてきた西洋医学とは異なっている点です。

漢方において処方される漢方薬は、自然界にある植物や鉱物などを原料とした「生薬」と呼ばれるもので、原則として複数が組み合わされています。組み合わせによる効果がどんなものか、有害なものにならないか、長年にわたる治療の経験により、体系化された処方があります。これらは体のバランスを整え、人間が本来持っている自然治癒力を高めることで、身体を健康な状態に導くものです。

漢方薬は、地域や家庭で昔から使われてきた、1種類の薬草からなる民間薬と異なり、2種類以上の生薬を決められた分量で組み合わされて作られたもので、細かく条件が決められており、医薬品として正式に認められたものです。医療機関で使用されるものの多くは健康保険が適用される「医療用漢方製剤」で、約150処方が承認されています。日本では漢方薬と西洋薬を一緒に処方することができます。

例えば細菌やウイルスによる病気を治したり、血圧を下げたりといったことは西洋医学の得意分野ですが、虚弱体質や胃腸の不調、不眠やうつなどの精神症状、アレルギー疾患や更年期障害など、原因がよくわからなかったり、慢性的であったりするものは、心や体の調子を整えるということで、漢方の効果が期待できる部分も大きくあります。当クリニックでは、医師が一人一人の体質や病歴など、身体の状態をじっくりと診察し、漢方薬も含めた選択肢の中から、処方を行っていきます。

プライマリ・ヘルスケア

プライマリ・ヘルスケアのイメージ写真

プライマリ・ヘルスケアとは、簡単に言うと、「すべての人が、等しく健康的な生活をおくることができる」という理念のもと、より医療へのかかりやすさや、健康的な生活を送るための環境整備など、総合的な視点から健康に取り組むものです。当クリニックは、診療はもちろん、健康教室やヘルスケア講座等も開催し、地域に暮らす方みなさんの健康に貢献することを目指しています。

もともとプライマリ・ヘルスケアは、1978年、旧ソ連邦カザフ共和国の首都アルマ・アタで出された歴史的宣言によって定義されたもので、世界のすべての人に健康を、という理念を掲げたものです。具体的には4つの項目にまとめられます。

1つ目は地域の住民が主体となって、住民自身が保健医療の活動に参加するということ。2つ目は地域住民にとって必要性が高い保険や医療の提供です。発展途上国などの地域においては、きれいな水や、風土病への対策の必要性が高いこともあります。3つ目は地域の資源を活用すること、適正な技術を使用することです。栄養失調の改善にはその地域でとれる食物をうまく活用することや、医療機関から離れているところでも、予防接種を受けられるようにすることが重要です。4つ目は保険医療機関だけでなく、教育や農業、水資源開発、商業などの幅広い領域との協働です。

これらは発展途上国を想定しただけのものではなく、私たちが暮らす地域社会においても当てはまります。いま、私たちの社会は超高齢社会を迎えています。そこでは生活習慣病に対する予防から、より重篤な脳疾患、心疾患等を防ぐことで健康寿命を延ばし、地域全体における健康的な社会を維持することが重要でしょう。そのためには住民の皆さんひとりひとりが、自らの健康に自覚を持つ必要があります。

また「最期の時を住み慣れた自宅で過ごしたい」という願いを大切にするために、在宅医療のための環境整備も求められます。そのためには、医療だけではなく、介護や福祉との連携なくしては、実現は難しいですし、本人あるいは家族の負担が増大してしまいます。行政を含め、まさに地域に暮らす住民のみなさんの参加が、生活の質を落とさずに、充実した暮らしを送り続けられる環境の実現のためには必要です。

当クリニックでは、このプライマリ・ヘルスケアの考え方に基づき、また地域において一番身近でアクセスできる「かかりつけ」の医療機関として、個々の病気についてだけではなく、生活全体の質を維持し、高めるための心身両面からのサポートができる存在を目指しています。また、適切な医療を受けていただくための、より高次な医療機関との病診連携はもちろん、介護・福祉分野との連携も視野に入れ、健康的な暮らしを構築するための地域のネットワークの「扇のかなめ」的な存在でありたいとも考えています。

まずは、「とりあえずあそこに行けば、より良い方向に向かえる」と思っていただけるクリニックとして、地域に根差した医療を展開していきますので、お気軽にご受診ください。