認知症について

アルツハイマー病を含めた認知症は増加の一途をたどり、大きな社会問題となっています。このまま認知症を放置すると介護に関わる家庭の崩壊、ひいては国の崩壊につながると言っても過言ではありません。
昔は、認知症は「ボケ」、「痴呆」と呼ばれ、年のせいで起こるものとされていました。認知症はれっきとした病気です。 世間一般では認知症は恥ずかしい病気と思われがちです。しかし、病気に恥ずかしいも恥ずかしくないもありません。
認知症も病気だから、「予防しなければならない」、「治療しなければならない」ということを改めて認識すべきです。
誰でも病気になりたくて病気になる人はいません。
自分は大丈夫と過信するのは最も危険です。
病気に「自分は大丈夫」という保障、根拠はどこにもありません。
不治の病とされたガンも早期に発見すれば完治も可能となってきました。
認知症も同じです。認知症をできるだけ早く発見し、予防することが最も重要です。
当クリニックでは最先端技術を用いた多角的検査により早期認知症診断を行い、それぞれの患者様に合わせたテーラーメード認知症予防と治療に取り組んでいます。
特殊認知症検査
*一部保険外検査となります
- 髄液中アミロイドβ(Aβ)測定
腰椎穿刺を行い、脳脊髄液を約3mL採取し、髄液中アミロイドβを測定します。
髄液中のAβ42/ Aβ40比は脳内アミロイドβの蓄積状態を把握するバイオマーカーとして有用です。 - 髄液中リン酸化タウ測定
腰椎穿刺を行い、脳脊髄液を約3mL採取し、髄液中リン酸化タウを測定します。
髄液中リン酸化タウはアルツハイマー病で特異的に増加することが知られています。 - 血液中アポリポタンパク質A1、トランスサイレチン、補体C3測定
軽度認知障害スクリーニングとして有用です。 - エプスタイン・バー(EB)ウィルス抗体測定
EBウィルスはヘルペスウィルスの仲間に属し、伝染性単核球症の原因となります。
最近、軽度認知障害、アルツハイマー病の進行期にEBウィルス抗体が増加することが報告されており、軽度認知障害、アルツハイマー病の早期発見に有用です。 - 血中C1q測定
ミクログリアはアミロイドβ(Aβ)を除去(掃除)する働きがあります。その一方で、過剰なミクログリアの活性化は正常なシナプスも除去し(シナプス喪失)、認知機能低下の要因となります。
補体の一つであるC1qはシナプス喪失にともなって増加し、この増加はAβプラーク形成前であることが知られています。血中C1q測定はアルツハイマー病の病態解析に有用です。 - 尿中プロスタグランディンE2 (PGE2)測定
PGE2はAβ産生を促進させる働きがあることがわかっています。 - アポE遺伝子検査
アポE4はアルツハイマー病の危険因子で、アルツハイマー病の早期発見に有用です。
特に、アポE4高値の高齢女性はアルツハイマー病発症のリスクが通常の約3.9倍となることがわかっています。
特殊認知症治療
*保険外治療となります
- ヒト成長ホルモン療法
タウタンパク質はアミロイドβとともにアルツハイマー病の重大な原因物質として知られています。正常な状態下でタウタンパク質は、神経細胞間の情報や栄養を輸送する大切な役割を果たしています。ところが、タウタンパク質がリン酸化されると(リン酸化タウ)塊となって軽度認知障害を引き起こします。
そこにアミロイドβが加わると、さらにリン酸化タウの塊が増え、アルツハイマー病に進行します。
したがって、タウタンパク質のリン酸化を抑えれば軽度認知障害、アルツハイマー病を予防したり、進行を遅らせることが可能となります。
成長ホルモンは受容体型チロシンキナーゼ (RTK) シグナル経路を介してタウタンパク質のリン酸化を抑える作用があります。
ヒト成長ホルモン療法は成長ホルモンを1 週間に 6 ~ 7 回に分けて皮下に注射する療法です。 - 乳歯幹細胞由来培養上清の点滴療法
乳歯幹細胞由来培養上清には、サイトカイン(Siglec-9とMCP-1)が高濃度含まれています。 これらのサイトカインは神経再生を促し、アルツハイマ―病、脳梗塞、低酸素脳症、多発性硬化症、脊髄損傷などの神経再生疾患に対する効果が期待できます。 - 高濃度ビタミンC点滴療法
高濃度ビタミンCを1回60g、週2回点滴することによってアポE4を低下させ、認知症予防に有効であることが報告されています。 - 新規効能医薬品
臨床の場で使用されている医薬品の中で、承認はされていないがアルツハイマー病の予防・治療に応用できる新規効能が発見された医薬品を患者様の病態に合わせて選択し、投与します。 - サプリメント
科学的に効果が証明されているサプリメントを患者様の病態に合わせて選択し、投与します。